『協力隊を育てる会ニュース』連動企画 フェアトレードにかかわるOG座談会/後編

March 25, 2015

前回、前編「フェアトレードにかかわるきっかけ、やりがい」としてお伝えした協力隊OG座談会。今回は「フェアトレード事業にかかわる本音」をお伝えします。

 

※この記事は、『協力隊を育てる会ニュース』2015年3月15日号に掲載されたものの完全版です。

 

「フェアトレード」という言葉

 平澤さんと現地スタッフ

 

――「フェアトレード」という言葉をよく目にするようになりましたが、そのことでお感じになっていることはありますか?

 

山田 日本で一般的に「フェアトレード」というと、「生産者を守る」「生産者のための」という側面が強調されすぎるのは残念ですね。もちろんそういう面もありますが、生産者だけではなく、消費者にとってもフェアでないと。嘘のない表示、安全安心なものを届けるという意味でのオーガニック、無添加。また、継続的に作っていくためには、環境に対してもフェアであるべきだし。商品にかかわるすべてにフェアなトレードというのを当社は目指しています。

 

杉山 私はあまりフェアトレードの商品を扱っているという意識は持っていなくて。コーヒーなんですよ。コーヒーを売っている。でもフェアトレードが必要だという背景はちゃんと届けたいと思っているんです。そのときにフェアトレードという言葉が必要になるだけなんです。ただ自分が消費者の立場に立つとその辺はすごく厳しいんです、実は。「この商品は何をもってフェアトレードとされているんだ?」と、気になりますね。

 

――消費者の立場として気になることを、生産者としてどう解消していますか?

 

杉山 情報発信を何よりも大切にしています。いちいち情報発信して、必要な情報かそうじゃないかはお客さまに選んでもらえればいい。発信できる情報はなんでも発信したい。そういう意味では、コーヒーを売っているんですけど、届けているのは情報である、という意識はあります。逆にそうではないなら、「豆乃木」がコーヒーを販売する必要はないと思っています。

 

 

コーヒーと手工芸品の違い

 

豆乃木がお届けする”マヤビニックコーヒー”の作り手

 

――お仕事のやりがいはどんなところにありますか?

 

杉山 コーヒーは世界中の人に愛される飲み物でありながら、栽培されている地域は「コーヒーベルト」と呼ばれる、いわゆる「途上国」に限定され、その多くが零細農家です。コーヒーは一家の収入の柱ですが、国際市場で決められる価格は変動が非常に激しく、特に生産者はその大きな波に翻弄されます。

コーヒーのフェアトレードの難しさは、実は輸入する側にもあります。多くの場合、コーヒー生豆はコンテナで、十数トン単位で輸入します。それだけに輸入する側に「体力」がなければ成り立たず、だからこそ大企業がその役割を担ってきました。すると、価格競争のために、買取価格が下げられる……。まだまだ小さな会社ですが、フェアトレードによる構造変革に挑戦することにやりがいを感じています。

同時にコーヒー栽培は、環境問題とも密接につながっています。本来、環境に配慮しながら、丁寧に育てられるコーヒーに対して、適切な対価を支払うことは、ごく当たり前のことなのです。

 

大澤 私は杉山さんと対照的に手工芸に興味があるんです。自分が手工芸を見るのも好きだし買うのも好きだし、自分でものをつくるのも好きだし。それに作物がある場所はいいんですよ。でもマーシャルにはないんです。マーシャルは珊瑚の島で、土が水を吸い取るから植物がぜんぜん育たない。そういう特産物のない、工業ができるわけでもない、2次産業的な何かを生み出さなきゃ現金収入が得られないところに行きたいなと思っています。

 

杉山 それはまさに私の研究分野です。何もないところに何かを生み出すというのが一村一品の考えなんですよ。あれもないこれもないという状態のなかから、いや水があるでしょ土があるでしょ、というところから自分たちの地域の可能性を見出すということなので。それは私もぜひチャレンジしたい。

 

マーシャルの女性が手で編みだす「アミモノ」

 

――クラフトリンクも手工芸品の側ですね。

 

平澤 はい。私たちクラフトリンクの生産者は、手工芸品で家計にプラスアルファの収入を得ている人がほとんどです。なかには手工芸品の生産をして得る賃金と、縫製工場で得る賃金を比べると、後者のほうが高い人もいます。でも、出稼ぎに行かず、空いた時間に家の近くで刺繍をすることでお金がもらえる、家庭環境をなるべく壊さない形で働けることに意味があると思っています。

 

――バングラデシュの縫製工場が崩壊したというニュースもありました。

 

平澤 あの辺りには同じようなビルがずらっとあるんですよ。古いビルで大人数がミシンを踏んでいる。そういうひどい環境で働いている人たちがたくさんいる状況を変えたいですね。

もう一つ。男性だと稼いだお金をお酒や娯楽に使ってしまうケースが見られるんですけど、女性は一番に子供のことを考えるんですよね。将来の夢を聞くと、子供が良い教育を受けて、いい仕事に就いて、いい結婚をしてハッピーになること、とだいたいの女性が答える。手工芸品で得た収入も教育費にあてていることがすごく多いです。ですから、家計の全部を占めることはできないにしても、選択肢の一つとして手工芸品があるのはすごくいい状況なんじゃないかと私たちは思っています。

 

 

生産者と消費者をつなげたい

 

――最後に今後取り組みたいことを教えてください。

 

大澤 SoooooS.は、商品が売れることで、フェアトレード商品を始めとするソーシャルプロダクツの輪が広がっていくという考えなので、まずは商品を売る、ということになります。そのなかでの私の役割は協力隊OGであること。協力隊OBOGには、ソーシャルプロダクツに興味を持つ人が多いと思うので、認知度を高め、またOBOGでソーシャルプロダクツにかかわっている人たちにアプローチしていきます。また、当社はもともとマーケティングの会社なので、マーケティングの面をコンサルティングするサービスをつくってみたいです。

 

杉山 もっとも大切なことは、フェアトレードを継続させ、お客様にも喜んでいただくことです。コーヒーは農産品であり、天候や病害に左右される不安定なものではありますが、できるだけ安定的に、おいしく、高品質な状態でお客様に届けていきたいと思います。そのために、まめに産地に足を運び、毎年毎年取引を重ねて行くことに尽きます。そうやってこれからも、ごく自然に生産者と消費者をつなげていきたいです。

 

平澤 私は異動がある立場ですが、個人的な希望としては長くフェアトレードにかかわりたいですね。いま3年目でようやくわかってきたところなので、専門性を高めて、より良い商品を作っていきたいと思います。最近、ネパールで衣類を扱っている団体が、欧米を中心にかなり売上を伸ばしています。デザイン力も、縫製の能力もあがっていて、嬉しく感じています。

 

山田 Girls, be Ambitiousとしては、もっとお客様とフィリピンの人をつなげていきたいです。最初は商品を通してからですが、たとえばツアーを組んだりして、本当に生産者とお客様がつながれるような仕組みが作れたらいいですね。あとは一般的な日本人がフィリピンに抱いている「バナナ」「海」「貧困」というイメージを変えたいです。ココナッツやモリンガで美を目指す文化があるので、「ナチュラルビューティー国フィリピン」のイメージを広げて、フィリピンに来たいなと思うお客様を増やしていきます。

 

――フェアトレードにかかわる仕事に興味のある隊員へメッセージをお願いします。

 

山田 学生時代にフェアトレードを知ったとき、フェアトレードが貧困を全部解決してくれると思って、「フェアトレード、素晴らしい!」と思ったんですけど、活動を始めてみたら、そこには理想だけでなく「現実」もありました。でも、フェアトレードだからこそ、生産者と密着してよい商品を作ることはできると思います。「現実」にぶつかることもあると思いますが、ぜひあきらめずに前向きに取り組んでください。

 

――みなさん、ありがとうございました。

 

今回ご協力いただいたみなさんが扱う商品・サービスはこちらからチェックできます。

 

杉山世子さん

 

 

 

 

 

山田麻樹さん 

 

 

 

 

 

 

平澤志保さん

 

 

 

 

 

 

 

大澤百合さん

 

 

 

 

 

豆乃木とGirls, be Ambitiousの商品は、GLOBAL SPROUTでも紹介しています。

 

 

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